宝石のアレなぜ?コレなに?「”鉱物名/宝石名”てなに?」(R2.11/28UP)

鉱物名と宝石名

私たちが普段見聞きする宝石の名前には、実は「鉱物名」「宝石名」があります。「鉱物名」とは鉱物学的視点から与えられる名称のことで、色や形などの見た目がどんなに違っても、その化学的・物理的性質が一緒なら同一鉱物として分類します。一方、「宝石名」はその色や形などの見た目に基づいて与えられる名称のことです。

鉱物名と宝石名

例えば「ルビー」は赤色、「サファイア」は青色といった見た目(色)に基づいて与えられた「宝石名」ですが、実はこの2つの化学的・物理的性質は同じなため、鉱物学的には「コランダム」という「鉱物名」でまとめられているということです。

「コランダム家という1つ屋根の下に青色のサファイアくんと赤色のルビーちゃんが住んでいる」といったイメージはどうでしょうか?

2人は見た目(色)が全く違うし、名前(宝石名)もそれぞれ別です。しかし、同じ「コランダム(鉱物名)」というDNA(化学的・物理的性質)を持つ家族です。

このように「鉱物名→家名(名字)」「宝石名→名前」に置き換えてイメージすると楽しく理解できると思いますので、以降当コラムで宝石を紹介するときはこのイメージを使います。

コランダム家

宝石名と変種名

宝石名と変種名

実は、本来「コランダム家」では純粋な状態のままなら無色の子が生まれます。これが不純物等で赤色になって生まれた場合、その子は「ルビー」という名前で呼ばれるようになるのですが、これは見方を変えると「ルビー」という子は「コランダム家」における赤色の変種ということになります。

この場合の「ルビー」という名前を「変種名(バラエティ・ネーム)」といいます。要するに、「ルビー」という名前は宝石名とも変種名ともいえるということです。

また、この宝石名(変種名)は「ルビー」のように1つだけとは限りません。例えば、後々紹介する「ベリル家」の赤色変種の子を「レッド・ベリル」と言いますが、この子には「ビクスバイト」という名前もあります。このように、1人の子が複数の名前を持っていることが宝石界では多々あります。

複数の名前を持つ子(宝石)

よって、当コラムでは以降「鉱物名→家名(名字)」「宝石名(変種名)→名前」に置き換えてイメージするのに加え、「レッド・ベリル」のように1人の子が名前を複数持つ場合は、一般に定着している名前以外を「ニックネーム」として捉えて紹介していこうと思います。