宝石のアレなぜ?コレなに?「”宝石”ってなに?」(R2.11/21UP)

宝の石「宝石」

「色・輝き・透明度・模様・形などの美しさといった審美性、長期使用しても壊れたり変色しない耐久性、身に着けても負担にならない携行性、そうざらにあるものではないという希少性を持つもの」

サイドに12種の誕生石をあしらったグリーン・トルマリンリング

太古より人はこの4点を満たすものを「宝石」として身に飾り、権威やステイタスの象徴としたり護身符や祭祀(さいし)用に使ったりしてきました。

無機物と有機物

そんな宝石は大きく2つのグループに分けることができます。自然に産出する無機起源の鉱物(無機物)と生物の生命活動から生まれる有機起源の有機物の2つです。鉱物のうち、ポピュラーなものは約20種足らずですが、全体としては約4000種以上あり、宝石として使われてきたものの大部分は鉱物です。

有機物の宝石

対して、有機物として有名なものには「真珠」「珊瑚」「琥珀」などが挙げられます。これらは「石(無機物)」ではありませんが、「宝石」として認識されているのが面白い所です。

宝石界の貴族「貴石」

宝石の中でもとりわけ「貴石」と呼ばれるものが一般的に高額で取引されます。何をもって「貴」とするかですが、簡単に言うと「硬度7以上の宝石で、価格の高いもの」を貴石といいます。「硬度(モース硬度)」というのは、宝石のキズや摩耗に対する抵抗力のことで、その数値の最低値は「1」最高値は「10」です。

実は、宝石の中で何を貴石とするかは国や人などで認識に違いがあるため普遍的で絶対的な定義はありませんが、それでもほとんどの国や人が「これは貴石」と捉える宝石は確かに存在します。

四大宝石をあしらったリング

それが「ダイヤモンド」「ルビー」「サファイア」「エメラルド」の4つで、この4貴石を四大宝石とも称します。この場合、これら4貴石以外の宝石を「半貴石」と呼びます。

貴石と半貴石

「半貴石」という名称は「貴石より劣る」のような悪い意味合いを感じさせますが、半貴石もれっきとした宝石ですし、貴石に関する絶対的定義もないため半貴石が貴石と見なされる場合もあります。また、半貴石でも例えば色が抜群に美しければ高値になりますし、逆に貴石だとしても色がいまいちだと値が下がることもあります。

硬度と靭性

「硬度(モース硬度)」とはいいますが、これは「どれだけ硬く、割れにくいか」ではなくて「どれだけキズ付きにくいか」を表すものです。「どれだけ割れにくいか」を表す指標は別にあり、それを「靭性(じんせい)」といいます。つまり、どれだけ「硬度」の数値が高くても「靭性」の数値が低いと「キズは付きにくいが割れやすい」ということになります。

ここで「地球で最も硬い鉱物(宝石)」というイメージが根強い「ダイヤモンド」を例にするわけですが、その硬度は最高値の10ですが、靭性はそこまで優秀ではありません。些細な衝撃(机にぶつける、地面に落とすなど)で知らぬ間に割れたり欠けたりする可能性が高いのです。逆に、「ルビー」や「サファイア」の方が硬度9と高く、靭性もかなり優秀なのでダイヤモンドより丈夫な宝石といえるでしょう。

割れたダイヤモンド

かといって、そんなダイヤモンドのどこに衝撃を加えても簡単に割れるというわけではなく、ダイヤモンドの弱点に衝撃がジャストミートしたときに比較的小さな力で割れるということです。