ジェイダイト家
「ジェイダイト(硬玉)」と聞いてもピンときづらいかとは思いますが、要するに「翡翠」のことです。実は「翡翠の国」として栄えた中国で採れていたのは「アクチノライト家」の「ネフライト(軟玉)」という全く別の家の子で、私達が今でも「翡翠」として親しんでいる子のほとんどはミャンマー産の「ジェイダイト(硬玉)」です。
「ジェイダイト(翡翠)」といえば第一に緑色の子をイメージしがちですが、「翡」が赤色、「翠」が緑色を意味する通り赤色の子も存在します。他にもスミレ色や黄色、青色などの子もいます。
そんな「ジェイダイト家」において、透き通るような半透明かつ深く澄んだ緑色の肌を持つ子は「琅玕(ろうかん)」と称され珍重されます。
また「ジェイダイト家」はモース硬度の面では6.5~7とそこまでキズに対しては強くありませんが、靭性が極めて優秀なので非常に割れにくく、「硬玉」と呼ばれるに相応しい丈夫な家系でもあります。
スピネル家
「ジェイダイト(翡翠)だと思っていたら実はネフライトだった!」のような勘違いが「スピネル家」にもあります。とりわけ「レッド・スピネル」という子は「コランダム家ルビー」とよく勘違いされてきました。
「ルビーだと思っていたら実はレッド・スピネルだった!」という勘違いとして有名な話は「黒太子のルビー」でしょうか。興味がある方は「黒太子のルビー」で検索してみてくださいね。
また、「カラーチェンジ・スピネル」という子も「クリソベリル家アレキサンドライト」とよく混同されます。
このように「スピネル家」には「ルビー」に勘違いされるくらい鮮やかな赤色の子がいたり「アレキサンドライト」にそっくりな変色を示す子がいたりする上に「スピネル家」は8という高いモース硬度と優秀な靭性を持つということで、実は宝石としてのポテンシャルがかなり高い一家です。
トパーズ家
「インディアン・トパーズ」「キングズ・トパーズ」「クオーツ・トパーズ」「ゴールド・トパーズ」「ジュエラーズ・トパーズ」「セラ・トパーズ」などのように、名前に「トパーズ」を冠する子が宝石界には数多く存在します。しかし、これらはすべて「トパーズ家」とは全く関係ありません。最初の2つは「黄色いサファイア」、残りの4つは「黄色いアメシスト(シトリン)」のニックネームです。
このように、黄色で透明な子に「トパーズ」の名がしばしば使われます。「トパーズ家」が黄色で透明な宝石の代名詞として浸透している証拠とも言えるでしょう。
余談ではありますが、現在の「ペリドット」が「トパーズ」と呼ばれていたという説もあるみたいです。「ペリドット」の歴史上有名な産地がセント・ジョンズ島だったのですが、常に霧に包まれたこの島への到達は当時の航海技術では困難だったことから、ギリシア語で「探し求める」を意味する「トパゾス(topazos)」に因んで「ペリドット」が「トパーズ」と呼ばれていたとされています。
そんな「トパーズ家」の子たちはその体内に含まれる水酸基(すいさんき)とフッ素の量で「OH/Fタイプ」に大別されます。
・OHタイプ(水酸基優勢)
「イエロー・トパーズ」
「ホワイト・トパーズ」
「ブラウン・トパーズ」
「ピンク・トパーズ」など
※このタイプの「トパーズ」は「インペリアル・トパーズ」とも称されます。
※このタイプの中で最も高い評価を受けるのが「シェリーカラー(優しいピンク色)」の「トパーズ」です。
・Fタイプ(フッ素優勢)
「イエロー・トパーズ」
「ホワイト・トパーズ」
「ブラウン・トパーズ」
「ブルー・トパーズ」など
※このタイプの中で最もよく見かけるのが「ブルー・トパーズ」です。
「OH/Fタイプ」は水酸基とフッ素のどちらが優勢かで決められますが、わざわざ大別するのはどちらが優勢かで多少体質が違ってくるためです。例えば、両タイプに共通の「イエロー/ブラウン・トパーズ」ですが、「Fタイプ」の子だと日に当たると色褪せするという体質を持ってしまいます。