時計のアレなぜ?コレなに?「”時計”てなに?」(R3.3/20UP)

時計の原点

私たちが日常的に使っている「時計」とはそもそも何なのか?当たり前の存在すぎてなかなか考えたこともありませんでしたが、「時計」は時という概念を可視化するための道具です。現在の「時計」はデザイン性やファッション性、付加価値機能が先行しがちですが、「時計」の原点は使用者に正確な時刻を知らせることにあります。太古より人は様々な方法で目に見えない時を計測し、それを可視化する方法を探ってきました。

時計の発展

では、そんな「時計」がどのように発展してきたのかを簡単に見てみましょう。

日時計の例

Ⅰ.日時計

太陽が物体に作る「影」を利用して作られたのが「日時計」で、これは時計の原点と言われています。この時計には太陽が出ていないと機能しないという欠点がありました。

ちなみに、「日時計」がはじめて作られたのは北半球で、その時代に時計を作る文明を持っていた民族が存在していたのもすべて北半球だと言われています。そのため、影(針)の移動は右回りで、これが今なお受け継がれています。もし、これが反対の南半球だったら、我々が現在使用している時計の針は左回りだったのかもしれません。

水時計の例

Ⅱ.水時計

そんな「日時計」に替わって登場したのが水を利用した「水時計」です。「日時計」と違って夜でも曇りでも関係なく使える点から「機械式時計」の登場まで長く使われました。

容器内側には目盛りが打たれており、底の穴(写真赤枠)からだんだんと抜け出ていく水のかさを目盛りで読み取ることで時を計っていました。

機械式時計内部の例

Ⅲ.機械式時計

沈んだり陰ったりする太陽や蒸発したり凍ったりする水といったような自然に頼る計測法はどうしても安定性に欠けるため、その精度にはどうしても限界がありました。そこで誕生したのが「歯車」や「ぜんまい」などの機械部品で安定的に動く「機械式時計」です。

時代とともに高精度化、小型化、複雑化していき、今日にも見られる「機械式時計」へと進歩していきます。

クオーツ式時計内部の例

Ⅳ.クオーツ式時計

20世紀に入ると、時計も電子化時代へと突入します。電子技術を駆使した「クオーツ式時計」の精度は「機械式時計」の約100倍と言われるほど、その精度は格段に向上しました。今日よく見られる「電波時計」はこの上位機種とも言える時計です。

「クオーツ式時計」は時間表示方法によって、「アナログ式」「デジタル式」に二分されます。

このように、人の知恵や工夫、それらに技術革新も相まって現在よく見る形の「時計」になっているわけです。そんな「時計」ですが、現在私たちが日常生活で使用している「時計」のほとんどは「機械式時計」「クオーツ式時計」のどちらかでしょう。長くなりますので、これらのご紹介は次回にします。

クロックとウオッチ

「機械式時計」「クオーツ式時計」「アナログ式」「デジタル式」などの説明は次回にするとして、最後に「クロック(clock)」「ウオッチ(watch)」の違いを解説します。これらは共に「時計」という意味ですが、この2つは携帯可能か否かで使い分けしなければなりません。

クロックの例

クロック

「クロック」は据え置きを前提とした時計のことです。「置き時計」「掛け時計」「柱時計」「塔時計」などが例として挙げられます。

ちなみに「クロック」はキリスト教の修道僧や一般市民に鐘の音で祈りの時間を知らせるために礼拝堂外壁に設置されたことが始まりとされており、このことから「クロック」は市民が集まる公共施設に取り付けられるようになっていきました。そのため、ラテン語で「鐘」を意味する「クロッカ(clocca)」が「クロック(clock)」の語源と言われています。

塔時計の例
ウオッチの例

ウオッチ

「ウオッチ」は持ち運びを前提とした時計のことです。「腕時計」「懐中時計」などが例として挙げられます。

ちなみに「懐中時計」はポケットや懐の中に入れて携帯することから付いた名前で、「腕時計」が登場するまでの長い間、世界中で使用されてきました。

余談ですが、「懐中時計」は蓋の有無やタイプによって大きく4つに分類されます。

オープンフェイス

オープンフェイスの例

蓋の無い、最もスタンダードなモデルです。

ハンターケース

ハンターケースの例

文字盤側に蓋が付いたモデルです。背面にも蓋を付け、蓋と蓋の間に時計を納めた非常に防護性に優れたモデルもあります。

ナポレオン

ナポレオンの例

蓋をわざわざ開けなくても中央から文字盤が見えるモデルで、多忙なナポレオン・ボナパルトが使用したという逸話からこの名前が付きました。

「ハーフハンター」「デミハンター」とも言います。

スケルトン

スケルトンの例

中の機械部分(ムーブメント)が見える、非常に装飾性の高いモデルです。