宝石のアレなぜ?コレなに?「”Dから始まる”のなぜ?」(R3.3/6UP)

カラー評価の最高は「D」

「ダイヤモンド」特有の品質評価である「4C」について触れた際、そのうちの1つである「カラー(Color)」の最高評価は「D」で最低評価は「Z」だと説明しました。

ここで疑問なのが、なぜ最高評価が「D」なのか?ということです。

カラー評価はアルファベット順に等級付けされているわけですから、最高評価というのなら「A」を最上位に置くのが自然です。しかし、実際は「D」が最上位となっています。そもそも、なぜアルファベット順なのでしょうか?

「最上位=〇〇」という認識の違い

まず、読者のみなさんは「最上位」と聞いてどのような等級付けが思い浮かびますか?

グルメ好きの方なら「星3つ」や「5つ星」、服好きの方なら「XL~4XL」、はたまたゲーム好きの方なら「S~SSS」「UR」「LR」などが思い浮かぶと思います。

調べてみると、様々なジャンルで一般的あるいは個性的な等級付けがされており、そのジャンル内では一定のルールのようなものはあっても、ジャンル間をまたぐような統一されたルールというものはありません。そのために発生してくる一番の問題が認識の違いです。

例えば、タイキ宝飾店(※架空)でNさんが「ダイヤモンド」を購入検討しているとします。以下はその際のやり取り(※架空)です。

すみません、「S」くらいのダイヤモンドが欲しいのですが…。

(…「S」?一番いいダイヤモンドってことかな?だったら…)

「S」と申しますと、「5つ星」のダイヤモンドのことでしょうか?

(「5つ星」?)

んー、たぶん…それだと思います。

今、在庫がありませんので、お取り寄せいたしますね。

~数日後~

お待たせいたしました。こちらが「5つ星」のダイヤモンドでございます。

…あれ?これは「SSS」くらいありますよね?

「SSS」?お客様がおっしゃた「S」というのが最上位のものだと思っておりましたので

「5つ星」をご用意したのですが…。

あー、「5つ星」というのは「SSS」のことだったのですね…。

せっかく用意していただいてあれなのですが、これはちょっと…高価すぎて…。

では、「1つ星」?というのはありますか?

それなら、こちらにございまして、今すぐにご用意できますよ。

おお、これですこれです。これが「S」です。

こちらを1つください。

このように、「ダイヤモンド」のカラー等級に関して両者間での共通認識がないと、交渉に余計な時間がかかり不便だったり、誤解を招きトラブルに発展するリスクがあったりします。共通認識がなくても両者でしっかりと現物を確認しあえる状況なら、互いの認識をすり合わせて正しく取引することも可能ですが、上記例のような場合やカタログ、インターネットなどの場合ですと、それが極めて困難なためにカラー等級の共通認識が必須になります。

そこで、世界共通言語である英語の「アルファベット」を使って「ダイヤモンド」のカラー等級を国際的に統一することにしました。世界共通言語であるがために容易に浸透させることができ、「ダイヤモンド」のカラー等級の一大共通認識となりました。

なお、そんな一大共通認識が「A」からではなく「D」からスタートする理由には、

①他のジャンルで「D」という等級を先頭に置くものが滅多にないため、混同が起こりにくい

②「Diamond」の「D」を先頭に置くというユーモア

といったものが挙げられます。