宝石のアレなぜ?コレなに?「”ガーネット家の赤色が細分化される”のなぜ?」(R3.1/2UP)

ガーネット家の赤色

「ガーネット家」における赤色は他家と比べるとかなり特殊です。通常、明るくても暗くても赤色ならそれに相当する子は1人ですが、「ガーネット家」においては明るい赤色と暗い赤色それぞれに別の名前が与えられます。

「コランダム家」と「ガーネット家」の赤色

前回の使いまわしになりますが…。

例えば、「コランダム家」で赤色の子を「ルビー」と呼びますが、その赤色はさまざまです。明るい赤だろうが暗い赤だろうが赤色なら「ルビー」と呼ばれます。しかし、「ガーネット家」においてはそうではなく、明るい赤なら「パイロープ・ガーネット」、暗い赤なら「アルマンディン・ガーネット」のように赤は赤でもその色合いの違いで明確に名前分けされます。

では、「ガーネット家」の赤色が細分化されているのはなぜなのでしょうか?

個体値(化学組成・硬度・屈折率)の違い

まず「コランダム家」の「ルビー」を例として、この子を少し詳しく見てみます。

さまざまな赤色の「ルビー」

コランダム家ルビー

化学組成(体内成分):AI2O3

硬度:9

屈折率:1.76~1.77

「屈折率」とは宝石(結晶)の体内に入った光の曲がり(屈折)の程度のことで、この屈折率が高ければ高いほど宝石の輝きや光沢が良くなります。ちなみにですが、かの「ダイアモンド」の屈折率は「2.42」です。

「ルビー」は明暗濃淡に関わらず赤色であれば「ルビー」です。それは明るい赤色でも暗い赤色でもその個体値(体内成分・硬度・屈折率)が同じなため、「ルビー」をわざわざ細分化する必要がないからです。

次に「ガーネット家」はどうでしょうか?

ガーネット家

パイロープ・ガーネット

パイロープ

体内成分:Mg3AI2(SiO4)3

硬度:7.5

屈折率:1.74~1.75

ロードライト・ガーネット

ロードライト

体内成分:(Mg,Fe)3AI2(SiO4)3

硬度:7.5

屈折率:1.75~1.78

アルマンディン・ガーネット

アルマンディン

体内成分:Fe3AI2(SiO4)3

硬度:7.5

屈折率:1.78~1.82

スペサルティン・ガーネット

スペサルティン

体内成分:Mn3AI2(SiO4)3

硬度:7.25

屈折率:1.79~1.81

こうして見ると、「ガーネット」の体内成分である「○3AI2(SiO4)3」という部分は共通ですが、「○」の部分が「Mg(マグネシウム)」「Fe(鉄)」「Mn(マンガン)」とそれぞれ違い、このどれを含むかによって色合いと屈折率が異なってくることがわかります。また、「Mn」を含む「スペサルティン・ガーネット」のみ少し硬度が低くなっています。

「ルビー」の場合、赤色の明暗濃淡に関わらずその個体値はどれも一緒なのでわざわざ名前を細分化する必要はありませんでしたが、「ガーネット」の場合、個体値(主に体内成分)のわずかな違いによって赤色の明暗濃淡が決定付けられるので、同じ「3AI2(SiO4)3」という体内成分を持っていても、その名前が細分化されるというわけです。

「ルビー」と「ガーネット」の体内成分

最後に簡潔にまとめると、「ルビー」はどの赤色の子も体内成分が一緒なので「ルビー」という1つの名前にまとまるのに対して、「ガーネット」は微妙に体内成分が異なり、その結果として赤色に差が出てくるため、名前も細分化されているということになります。

余談ですが、「体内成分(DNA)が違うなら同一家系ではないのでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、「Mg」や「Fe」などは単に色を左右する要素(元素)なだけであって「3AI2(SiO4)3」というDNAは共通なので、どの赤色の子もれっきとした「ガーネット家」の一員です。