「モノグラム」とは?
そもそも「モノグラム(monogram)」というのは「文字や模様を組み合わせた記号」のことです。例えば「モノグラム」はバッグや財布、服などの柄としてさまざまなブランドが使用していますし、その他の多種多様な業界でも用いられています。このように、本来「モノグラム」は包括的なものです。しかし、ブランド界におけるその意味合いは非常に限定的なものになります。
世界的有名ブランド「LOUIS VUITTON(ルイヴィトン)」にはその象徴ともいえる「モノグラム」があり、その柄のシリーズ自体を「モノグラム」と言います。この言わばルイヴィトンの「モノグラム」が他の「モノグラム」を凌駕しています。
試しに「モノグラム」で画像検索してみてください。「モノグラム」が真に包括的なものなら、いろいろなブランド、業界の柄が検索結果として出てくるはずです。しかし、実際はほとんどがルイヴィトンの「モノグラム」と限定的です。
このことから、「モノグラム」といえば、まず第一にルイヴィトンを象徴する「モノグラム」というシリーズ名称を指すという共通認識が世間一般にあることが明らかです。
ルイヴィトンの象徴「モノグラム」
そんなルイヴィトンの「モノグラム」は創設者ルイ・ヴィトン氏のイニシャル「L・V」という文字と花と星の模様の組み合わせで構成されています。
この花と星の模様は日本の家紋から着想を得たと言われています。
「モノグラム」は当時横行していた「ダミエ」という柄(後述)の模造品対策として考案されたもので、当時は職人の手で1つ1つ描かれていました。
今なお、世界中の人々から愛され続けるルイヴィトンの象徴「モノグラム」にはさまざまな派生(バリエーション)がありますので、よく見聞きするものをいくつかご紹介します。
「モノグラム」のバリエーション
リバース
「モノグラム」のカラーリングを反転させたものです。
エクリプス
「モノグラム」が「エクリプス (eclipse) =日食/月食」したかのような黒色になったものです。
マルチカラー
「モノグラム」をカラフルにデザインしたもので、下地が白色のものを「マルチカラー・ブロン」、黒色のものを「マルチカラー・ノワール」と言います。
マカサー
「モノグラム」とブラックレザーを組み合わせたものです。
アンプラント
「モノグラム」を「アンプラント(empreinte)=刻印/型押し」したものです。
ヴェルニ
「アンプラント」を「ヴェルニ(vernis)=エナメル」加工したものです。
マヒナ
「モノグラム」をパンチング(穴の打ち抜き)加工したものです。
もう1つの象徴「ダミエ」
「モノグラム」と並んでルイヴィトンを象徴する柄(シリーズ)が「ダミエ」です。「ダミエ」という名前ですっかり定着していますが、正確には「ダミエ・エベヌ」と言います。※ここでは「ダミエ」で統一して記載します。
この柄は日本の市松模様から着想を得たと言われています。ルイヴィトンを代表する「モノグラム」「ダミエ」ともに日本の影響を多大に受けているというわけです。
そんな「ダミエ」は当時、その単純なパターンの繰り返しゆえに模倣品が大量に出回っていました。その対策として「モノグラム」が生み出されたわけですが、その「モノグラム」が人気を博したために「ダミエ」は一時姿を消してしまいました。しかし、根強い人気でついに復活を果たし、今なおさまざまなバリエーションが誕生しています。
「ダミエ」のバリエーション
グラフィット
「ダミエ」を鉱物「グラファイト」のような黒色にしたものです。
グラフィット3D
「ダミエ」のパターンをさまざまなサイズ・色で組み直したものです。
アズール
「ダミエ」を白色にしたもので、日本では「白ダミエ」とも呼ばれます。
カラー
「ダミエ」にカラーバリエーションを持たせたものです。青/黄/黄土/赤紫/紫/ピンク/灰の全7色あります。
アンフィニ
「ダミエ」にエンボス(文字や絵柄を浮き彫りにする)加工を施したものです。
「モノグラム」「ダミエ」以外の柄
最後に、「モノグラム」「ダミエ」以外でよく見聞きする柄を2つだけご紹介します。
エピ
風にたなびく「エピ(epi)=麦の穂」をイメージしたものです。
タイガ
「タイガ(taiga)=針葉樹」を思わせるような精巧な柄が型押しされたものです。