宝石のアレなぜ?コレなに?「”4C”てなに?」(R3.2/20UP)

ダイヤモンドだけの品質評価「4C」

宝石には無機物(鉱物)から有機物のものまでさまざまなものがありますが、その中でもカットされた「ダイヤモンド」のみに国際的に統一された品質評価基準というものが存在します。それが「4C」です。

4つの「C」

4つの「C」

「4C」というのはカラット(Carat)、カラー(Color)、クラリティ(Clarity)、カット(Cut)の頭文字である4つの「C」からネーミングされた「ダイヤモンド」の品質評価に関する用語です。それぞれの「C」を簡潔に説明します。

カラット(Carat)

「カラット(略号:ct)」は「ダイヤモンド」やその他宝石の重量を表す要素で、「1ct=0.2g」です。「ダイヤモンド」に限った話ではありませんが、カラット数が大きければ大きいほどその価値も二次曲線状に高くなります。

カラット(重量)と価値の関係イメージ

ちなみに、金にも「カラット」という単位が使われますが、金の「カラット」は「Karat(略号:K)」で、その品位(純度)を表す単位です。宝石の重量を表す「カラット(Carat)」と金の純度を表す「カラット(Karat)」を明確に区別しましょう。

カラー(Color)

カラーの等級区分

「カラー(色味、色目)」は「ダイヤモンド」がどれだけ無色に近いかを表す要素です。ほとんどの「ダイヤモンド」はわずかに黄色味を帯びており、その色味の濃さに応じて「D(無色)」~「Z(薄い黄色)」に等級付けされます。「ルビー」や「サファイア」などの色石は「色」を命としますが、「ダイヤモンド」は「無色」であることを命としますので「D」が最高評価で「Z」が最低評価となります。

「じゃあ、ダイヤモンドに色が付いていてはダメなのか…」と言われれば、そういうわけでもありません。「Z」以下は「ファンシーカラー」という分類になっているのですが、その中でもブルーやレッド、パープル、グリーンなどの色が天然で綺麗に発色している子は最高評価の「D」よりも希少価値が高くなります。ちなみに、そのような色が人工的に付与されたものは「トリーテッド・ダイヤモンド」と呼び、天然の「ファンシーカラー・ダイヤモンド」とはその価値に雲泥の差がありますので注意です。

ファンシーカラー(ピンク)・ダイヤモンド

クラリティ(Clarity)

「クラリティ(透明度、傷気)」は「ダイヤモンド」の体内特徴(インクルージョン)体外特徴(ブレミッシュ)から判定される要素で、「ダイヤモンド」が持つ最大の魅力である「輝き」を左右する重要な要素です。

「I」クラス相当のインクルージョン
「I」クラス相当のブレミッシュ
クラリティの等級区分

「ダイヤモンド」の体内外をルーペや顕微鏡で検査し、その評価を何も特徴がない「FL(FlawLess)」~肉眼でも特徴が認められる「I(Included)」までの計11等級に区分します。

「カラット(Carat)」同様に、「FL」に近ければ近いほど、その価値は二次曲線状に高くなります。

カット(Cut)

「ダイヤモンド」も「カット」されて初めて眩く輝きます。「カット」は人が宝石に関与できる唯一の要素で、適切な「カット」は宝石が持つ魅力を最大限に発揮させます。輝きを命とする「ダイヤモンド」にとっても「カット」はその価値を大きく左右する重要な要素です。

カットの等級区分(3EX)

そんなカット等級(CUT GRADE)は全体的な「プロポーション」とシンメトリー(対称性)やポリッシュ(研磨状態)といった「フィニッシュ(仕上げ)」から総合的に評価され、「カット等級」「シンメトリー」「ポリッシュ」はそれぞれ「EX(EXCELLENT)」「VG(VERY GOOD)」「GD(GOOD)」「FA(FAIR)」「PO(POOR)」の5段階に等級付けされます。この総合的なカット等級付け(写真の赤枠部)は「ラウンド・ブリリアントカット」の「ダイアモンド」にしかなされません。

余談ですが、「カット等級」「シンメトリー」「ポリッシュ」の3要素すべてが「EXCELLENT」のものを「3EX(トリプル・エクセレント)」と言います。

H&Q(ハート・キューピッド)

また、「プロポーション」と「シンメトリー」が優れた「ダイヤモンド」を特殊機器で観察した時、表側(テーブル側)に8本の矢模様、裏側(パビリオン側)に8つのハート模様が現れるものを「H&C(ハート・キューピッド)」と言います。

「3EX」も「H&C」も「ダイヤモンド」の価値をグッと上げます。

「4C」以外の要素

最後に「4C」以外のポイントをいくつか簡潔にご紹介します。

・蛍光性

「ダイヤモンド」の蛍光性

「ダイヤモンド」に紫外線を当てると発光(蛍光)し、この蛍光の度合い(蛍光性)が強ければ強いほど「ダイヤモンド」の輝きに影響を及ぼし、その価値を大きく下げてしまいます。

蛍光の色調には「青(Blue)」の他にも「緑(Green)」「黄(Yellow)」「ピンク(Pink)」などがあります。

・曇り、欠け

曇った「ダイヤモンド」
欠けた「ダイヤモンド」

「ダイヤモンド」に限った話ではありませんが、曇りや欠けなどはその価値を大きく下げる要因となります。

ただし、曇りや欠けについては鑑定書には記載されないので、実物と照らし合わせて見ることが重要です。