貴金属とは?
そもそも、よく見聞きする「貴金属」というのは8つの「貴金属元素」の総称のことです。これらのうち「金」「銀」以外の6つを「プラチナ族(白金族)」といいます。
貴金属の代表格
貴金属の代表格といえば「金」「銀」「プラチナ」です。
金(ゴールドとも)英語「gold」元素記号「Au」
融点1064℃(★★☆)/比重19.3(★★☆)
希少性(★★☆):1トンの鉱石から平均3~5gと僅かな量しか採れない
化学的安定性(★★☆):純金だと空気中や水中で永久に錆びない/王水(濃硝酸+濃塩酸)に溶ける/水銀と反応する
特性:純金の場合、非常に軟らかい(1gの純金で約3㎞も伸びる!)
銀(シルバーとも)英語「silver」元素記号「Ag」
融点960.8℃(★☆☆)/比重10.5(★☆☆)
希少性(★☆☆):貴金属中最下位
化学的安定性(★☆☆):純銀だと大気中で変色/王水に溶ける/水銀と反応する
特性:純銀だと白さの程度、光の反射率は金属中最高
プラチナ(白金とも)英語「platinum」元素記号「Pt」
融点1769℃(★★★)/比重21.45(★★★)
希少性(★★★):1トンの鉱石から約3gとかなり希少
化学的安定性(★★★):大気中、高温で変色しない/王水に溶ける/水銀に反応しない
特性:粘り強いので、宝石を固定する材料として好適
貴金属の合金
ジュエリー素材としての貴金属(とりわけ金・銀・プラチナ)のほとんどは他金属(他元素)との合金です。そんな合金の中でもよく見聞きするであろうものをご紹介します。
金合金(カラー・ゴールド)
金は銀やプラチナと違って加える金属の種類と割合によって、その色を大幅に変えることが可能です。故に、金合金を「カラー・ゴールド」ともいいます。
「カラー・ゴールド」の色を左右するのは主に銀(Ag)と銅(Cu)の割合です。最も見聞きする金の品位である「K18(750‰)」を例にしてみましょう。
この場合、「750/1000(‰)」が金、残り「250/1000(‰)」が他金属です。この「250(‰)」がすべて銀だと緑味がかった「グリーン・ゴールド」、銅だと赤味がかった「レッド・ゴールド」になります。
他にも「イエロー・ゴールド」「ピンク・ゴールド」「ホワイト・ゴールド」などもあります。
銀合金
銀の変色を防ぐために応急的によく施されるのがロジウム(Rh)によるメッキで、これは変色防止やキズ防止が期待できますが、銀そのもののギラっとした輝きを隠してしまいます。
現状、銀の変色を完全に防ぐ合金はありませんが、ジュエリー素材として古くから使われている合金があります。それは銀(Ag)と銅(Cu)の合金です。
銀(925‰)と銅(75‰)の合金を「スターリング・シルバー(sterling silver)」といい、よくジュエリーに使用されます。単に「スターリング」や「925」とも呼びます。
銀(900‰)と銅(100‰)になると「コイン・シルバー(coin silver)」という名前の合金になります。
プラチナ合金
プラチナ合金ではプラチナの含有量が850‰以上のものが一般的とされています。プラチナ含有量850‰のプラチナ合金のことを「プラチナ850」や「Pt850」といいます。
そんなプラチナ合金の中でもリングやブローチなどに最も使われているのは「Pt900」です。このPt900の残り100‰によく使われるのがパラジウム(Pd)です。
プラチナとパラジウムは同じ「プラチナ族(白金族)」なのでとても相性がいいです。
白金とホワイト・ゴールド
「白金」を英語で言い直すとしたら大部分の人は「ホワイト・ゴールド」と言うと思います。ここに大きな誤解の原因があります。
まず、「白金」と呼ばれるものはなんだったでしょうか?8貴金属の1つ「プラチナ(Pt)」を「白金」とも言うんでしたね。そもそも、なんでプラチナが白金と呼ばれるのかというと、発見当時「重くて火にも溶けない白い金」と言われたことによるそうです。
次に、「ホワイト・ゴールド」は金合金(カラー・ゴールド)の1つです。金に銀やパラジウムなどを加えた金合金のことを「ホワイト・ゴールド(略号:WG)」と呼びます。
以上からわかるように、そもそも「白金」と「ホワイト・ゴールド」は全くの別物です。なので、ホワイト・ゴールドを強いて日本語で言うなら「白色金」とするのが正確です。